2008年03月29日

宮本武蔵 吉川英治(著)

宮本武蔵〈1〉 (吉川英治歴史時代文庫)


■武蔵、敗れる!

宮本武蔵といえば無敵の剣豪ですが、この小説はいきなり敗北から始まります。
力尽きてもう動けない…

徹底的な敗北です。


■竜馬と武蔵

司馬遼太郎さんの小説『竜馬がゆく』は日本人の龍馬観を決定付けました。

吉川英治さんの小説『宮本武蔵』は武蔵のイメージを固めました。

武蔵の小説をなんでもいいから一つ読んでみたいというときは、やっぱこれだと思います。


■関が原の戦い

慶長5年9月。

徳川家康ひきいる東軍と、石田三成を中心とする西軍が、関ヶ原で激突しました。

武蔵も戦場にいました。

武蔵は西軍の兵士として参加していたのですが、西軍は敗れてしまいます。

力尽きて倒れた武蔵は、屍のように戦場に横たわったまま、もう動くことができませんでした。

このとき武蔵は17歳。


■彼はなぜ転落したのか

武蔵のそばには親友の又八も倒れていました。

彼も同じ17歳です。

ふたりは年齢も同じ、故郷も同じ。

戦場での手柄を夢見て故郷を飛び出し、夢かなわずこうして関ヶ原の大地に満身創痍で横たわっている点もまったく同じです。

しかしその後の人生が大きく違ってきます。

ひとりは後世に名を残す剣豪になり、もうひとりは転落の人生を歩んでいきます。


■命運を分けたもの

武蔵はどんなふうに剣の道をきわめたのか。

友人の又八はなぜ転落してしまったのか。

そこを読み比べるだけでも面白いです。


■恋愛も

これは剣豪小説であり、恋愛小説であり、人生の手引書です。

「人生の困難はこうやって乗り越えるんだよ」という手本を、1ページ1ページ、武蔵が身をもって示してくれているような気がします。

宮本武蔵〈1〉
宮本武蔵〈2〉
宮本武蔵〈3〉
宮本武蔵〈4〉
宮本武蔵〈5〉
宮本武蔵〈6〉
宮本武蔵〈7〉
宮本武蔵〈8〉

2008年03月29日

宮本武蔵 津本陽(著)

宮本武蔵 (文春文庫)

えーと、いきなりでアレなのですが。

「宮本武蔵の小説を何でもいいからたった一つだけ読んでみたい」という方には、吉川英治さんの武蔵をおすすめしますので、そちらをご覧ください。


■13歳vs28歳

少年・弁之助(のちの宮本武蔵)は、父をはずかしめた武者修行者・有馬喜兵衛に勝負を挑みます。

このとき武蔵は13歳。

対する喜兵衛は28歳。


■頭を叩き割る

武蔵は天真正伝香取神道流の達人である喜兵衛を終始圧倒して、彼の頭を叩き割ります。

これが宮本武蔵の剣豪伝説のはじまりとなりました。


■武蔵が愛した女性

剣の道を極めれば極めるほど、武蔵は孤独になっていくような気がしました。

とくに武蔵の心をなぐさめているのが亡き女性への想いであることが、孤独感をいっそう強めていました。


■道しるべ

ときどき胸にしみるというか、人生の道しるべになるような言葉があります。

武蔵が人生のいろいろな瞬間で何を考えて、どう行動したのか。

武蔵が技と心を鍛えて敵を倒していく姿に、読者は救いを見出すんだな〜と。


■剣キラリ〜ン

スピード感!

物語がすすむと、武蔵の刀のあざやかなひとふりで章が終わるようになります。

まるで武蔵が刀のひとふりで次の章への扉を斬りやぶって、人生を切り開いていくような、そんな印象です。

宮本武蔵 (文春文庫)

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