2008年03月29日

新史太閤記 司馬遼太郎(著)

豊臣秀吉の小説

新史太閤記 (上巻)
新史太閤記 (下巻)


ホップ!

ステップ!

ジャンプ!

そういう小説です。躍動感です。


下克上、立身出世は戦国時代の醍醐味ですよね。


これを最初に読んだのは20歳になるかならないかの頃でした。


「あ〜、出世する人の頭の中はこういうふうになってるんだなぁ」とすごく興味を持って読みました。


大物とは何か、人間の器とは何か、という問いに対して「はい、これが答えですよ」といわれているような気がしました。


そういう衝撃はあとになって『竜馬がゆく』を読んだときにも味わうことになりますが…。

たぶん当時は、秀吉のようになれたらいいなぁという熱〜い憧れをもって読んでいました。

でも今思えば、秀吉は秀吉らしく生きてああなったわけで、僕も結局は自分らしくが何なのかを見つけるのが一番いいってことで。なんていうか、そんなふうに思ってます。


司馬遼太郎さんの小説では、個人的に『竜馬がゆく』と並んでオススメ度ナンバー1です。

どうしてもどちらかを選べといわれれば、そうですね、僕は『竜馬がゆく』のほうを選びますけど♪
(* ̄▽ ̄*)ゞ

新史太閤記 (上巻)
新史太閤記 (下巻)

2007年01月23日

新書太閤記【11巻】 吉川英治(著)

豊臣秀吉の小説

新書太閤記〈11〉 (吉川英治歴史時代文庫)
新書太閤記〈11〉

■もっとも長い太閤記

最終巻です。

太閤記にもいろいろありますが、この小説はおそらく、本屋に並んでいる作品の中でも、もっとも長い太閤記ではないでしょうか。

全11巻。

ここまで読んできて、秀吉と一緒にひとつの人生を歩んできたような感慨があります。


■上り坂で

秀吉がこの世に生を受けるところから、この小説ははじまりました。

でもその死までは描かれていません。

困難はいよいよ大きく、未来もいよいよ可能性に満ちている、という人生の上り坂で終わります。

とても後味のいい終わり方でした。


■逆境をおもしろがる

とんとん拍子に出世した印象のある秀吉ですが、その実、信長に仕えてからでも「逆境なしという年は一年もない」というほど、苦難の連続でした。

秀吉は壁にぶち当たっても腐りません。

物事がうまく進まない現状そのものを面白がって、笑います。

「逆境おもしろし」と、敢然と立ち向かえる心の余裕があります。

自分にできるだろうか、と思うんです。

逆境を面白がる心の余裕は大切だとわかっていても、実際に自分がそうなったときにどれだけ心から笑えるか。

できないかもしれません。いや、たぶんできません。でも、たぶんできない、と考えるキッカケになっただけでも、この小説を読んで良かったと思います。

たぶんできない。できないかもしれない。でも…。

と考えることがまず第一歩だとすれば、うまくすれば第二歩があるかもしれません。

そのうち何歩か進むうちに、「たぶんできない」が、もしかすると「できるかもしれない」に変わるかもしれません。

そのためにもまずは第一歩。

たぶんできない、と自分を見つめることからスタートできれば、と思うんです。


■スタートはどこでもいい

秀吉はいつでも地に足をつけて前に進んできました。

おおげさな夢を語らず、ただ目の前のやるべきことに集中して歩いてきました。

地に足をつけるというのは、まずは等身大の自分を受け入れることだと教えられた気がします。

だからスタートは、たぶんできない、でもいいんだと思います。

第一歩、第二歩と進んでいけるのであれば、スタートはどこでもいいのかもしれません。

貧農の子からスタートして天下をとった秀吉の人生がその証拠ということで、胸に刻んでおきます。

新書太閤記〈11〉

2007年01月23日

新書太閤記【10巻】 吉川英治(著)

豊臣秀吉の小説

新書太閤記〈10〉 (吉川英治歴史時代文庫)
新書太閤記〈10〉


■人はなぜ戦争するのか

明智光秀をやぶり、柴田勝家を葬った秀吉。

次の対戦相手は徳川家康です。

吉川英治さんはここで興味深いことを書いています。なぜ人は戦争するのか、ということです。


■誰が戦争を望んでるのか

指導者は皆、平和を約束します。

武士は皆、殺し合いの悲惨さを知っています。

庶民は皆、戦争を恐れています。

それなのに人は戦争をします。

一体なぜなのか。

吉川英治さんのは次のようにいいます…


■戦争をする者の正体

戦争は個人がするのではない。「人間の結合したもの」がやる。

人間は個人個人では平和を求めている。

しかし群れをなせば、世の中は人間の意志だけでは動かなくなる。

「世の中が人間意志だけでうごいて来たとおもうのは人間の錯覚」で、じつはそれ以外の大きな力が作用している。

つまり、

人間が時代を動かしているように見えてじつはそうではない。

「人間もまた、太陽、月、星のごとき宇宙循環に約された運命」によって動かされている。

ということのようです。


■時代の代表者

秀吉や家康など、時代の代表者となった人間は、もう一個人ではなくて「無数の人間意志や宇宙意志」を融合した存在だといいます。


■英雄は道具なのか

もっといってしまえば、ときの英雄は「無数の人間意志や宇宙意志」の道具ということにならないでしょうか。

「無数の人間意志や宇宙意志」は、英雄を利用して、人間世界を自在に作り変えていく。

英雄はそのための道具です。

これはトルストイが『戦争と平和』で言っていたことと似ているのかもしれないと思いました。

英雄が時代を作るのではなく、逆に、時代のうねりが英雄個人をたまたまひとつのシンボルとして利用し、歴史をつくっていく…


■平和は来ない

個人としての人間は、平和を望みます。

でも世の中は個人個人の意志とは別の方向に流れていきます。

そうであれば「平和はいつも遠いようだ」と吉川英治さんは書いています。

新書太閤記〈10〉

2007年01月23日

新書太閤記【9巻】 吉川英治(著)

豊臣秀吉の小説

新書太閤記〈9〉 (吉川英治歴史時代文庫)
新書太閤記〈9〉

「陽に立つ梅の香が皆の顔へそっと触れてくる」

「すでに陽は傾き、春めく天地のものみな、虹色の暮色に燃えていた」


■いい湯だな〜

吉川英治さんの文章はやさしくて厳かで、ほっとします。

こうした一文を覚えておいて、湯船につかりながら思い出すのが好きです。

温かいお湯に身体を沈めながら、その情景を描くともなく描いていると「ああ、小説を味わいつくしているな〜」と、自己満足で癒されます。
(´▽`)


■陽気な怪獣がゲラゲラ

9巻では、秀吉と柴田勝家が賤ヶ岳でぶつかります。

秀吉は天下を手に入れるために次々と手を打っていきます。

それ自体を心底楽しんでいるように見えます。

陽気な怪獣がゲラゲラと笑って火を噴きながら、邪魔者を払いのけてどんどん進んでいく。そういう印象です。

ひとときも時間を無駄にしたくない子供のように、秀吉は身軽にはしゃぎ回りながら天下への階段をのぼっていきます。


■詩とのコントラスト

秀吉が忙しければ忙しいほど、戦が壮絶であればあるほど、吉川英治さんのやさしい詩が存在感をまします。

新書太閤記〈9〉

2007年01月23日

新書太閤記【8巻】 吉川英治(著)

豊臣秀吉の小説

新書太閤記〈8〉 (吉川英治歴史時代文庫)
新書太閤記〈8〉

毛利との講和をまとめた秀吉は、電光石火、軍を東へ返します。

生き生きしていて、躍動感と瞬発力があります。対する光秀は精彩を欠きます。


■明暗くっきり

時流を味方につけた者と、その波に逆らった者。ふたりの明暗がはっきりと分かれる山崎の合戦。

これに勝利した秀吉は一躍、織田王国の後継者のポジションを固めたかにみえましたが…

 
■とにかく先へ進もう!

この数ヶ月の秀吉は本当にエネルギッシュです。

「細かいことは後だ、とにかく先へ進もう!」というスタンスで何事も解決していきます。


■光秀よりも早く

明智光秀がいくつかの未練にひかれて逡巡するのとは対照的に、秀吉は拙速を尊んで百歩も千歩も前へ駆けていきます。


■勝家よりも早く

柴田勝家が自重万全にこだわって動きを鈍らせている間にも、秀吉はさっさと逆臣・光秀を討ち果たして勝鬨をあげながら、頭の中ではすでに次の一手を考えています。


■リードを広げる

時間は誰の上にも平等に流れていますが、本能寺の変から1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月と経つにつれ、秀吉とその他の織田諸将のあいだには、大きな差が生まれます。

とにかく、やる。

秀吉にはこれしかないように思います。

人生はやるか、やらないか。

秀吉はとにかくやった人なんだな〜と。


■漢字が苦手

秀吉が祐筆に手紙を代筆させたときのことです。

祐筆は「醍醐」という字をど忘れして、筆をとめてしまいました。

秀吉は、字がわからないなら「大五」でいい、といいます。

「醍醐」と「大五」ではぜんぜん字が違います。

意味も通りません。祐筆は当惑します。

そのとき秀吉は、次のような意味のことをいいました。


■人生には限りがある

世情が車輪のようにはやく移り変わるこの時代、人生には限りがあるというのに、忘れた字を思い出すことに時間を費やしては、どれほどの業ができるだろうか。


■魔法の言葉

秀吉をますます身近に感じた箇所を引用します。


彼(秀吉)とても巧い戦や思いどおりな計画ばかりではなく、ずいぶん周囲に間の悪いような失策も度々だったのであるが、そんなときも、その失敗失戦にくよくよとらわれている風は少しもなかった。こんな場合、彼が胸の中で思い出していることも、離の一字だった。離とは、忘れるということです。焦りや妄想、執着から離れる。忘れる。


目を閉じる瞬間に離を思い、両のまぶたで執着を断ち切るようにして、頭を白紙にするのです。

いいことを聞いたと思いました。

いやなことを忘れるための魔法の言葉、離。

さらに興味を深かったのは、秀吉でも失敗をするということです。


■秀吉も転ぶ

秀吉というと階段を二段飛ばしくらいの勢いでスイスイと駆け上がるイメージがありますが、ときどきつまづいたり転んだりしているんですね。

それを離の一字でリセットして「さぁまた前へ!」って。

新書太閤記〈8〉

2007年01月23日

新書太閤記【7巻】 吉川英治(著)

豊臣秀吉の小説

新書太閤記〈7〉 (吉川英治歴史時代文庫)
新書太閤記〈7〉


■秀吉の壮大な作戦

中国地方の強国・毛利を攻める秀吉ですが、敵の城は容易に落ちません。

そこで秀吉は、高松城を攻略すべく壮大な作戦を展開します。


■光秀、ブチ切れ!

一方、明智光秀は主君の信長から、徳川家康の接待役を命じられます。

しかし突如その任を解かれ、屈辱的な仕打ちをうけます。

ここにきて光秀の忍耐は限界に達します。


■光秀、爆笑!

光秀はひとり夜空を仰いで大声で笑いました。

ここから「本能寺の変」へのカウントダウンがはじまります。

 
■光秀、爆走!

いよいよ「本能寺の変」です。

本能寺襲撃にいたるまでの、光秀の思考や言動がつぶさに描かれています。

しだいに理性がくもり、歯車が狂っていくのがよくわかります。


■前夜の信長がおもしろい

興味深いのは「本能寺の変」前夜の信長の行動です。

誰と会い、何を話したかなど、普段とまったく変わらない様子が描かれています。

何のへんてつもない夜です。

それが織田信長の最期の夜になるとは…


■秀吉による信長批判

おなじく豊臣秀吉を主人公にした小説に、司馬遼太郎の『新史太閤記』があります。

司馬遼太郎の描く秀吉は、主君の信長に対してその方針に異を唱えたり、心の内で「これが信長という人間の限界か」などとつぶやいてみせる図太さがありました。

しかし本書『新書太閤記』の秀吉は違います。

吉川英治の描く秀吉は、主君の信長をほとんど絶対的に信じてきました。

従順なんです。

しおらしいというか、真面目というか、とにかく信長の方針を絶対視して、ひたすらその実現のために粉骨砕身、励んできました。

それが、この7巻にきてはじめて信長を批判します。

といっても信長に対して直接意見するとか、異を唱えるということではありません。

長年にわたって信長の威圧的な征服活動を見てきた秀吉は、内心ひそかに「ああはなるまい」と思うのです。

引用すれば…

秀吉は多年、それを見て、それに倣うことを避けていた。(7巻54ページ)

という短い一文ですが、これがギラリと光って見えました。

キラリではなくギラリです。

秀吉が信長の前でひたすら隠し通してきた本心が、この一行の中にギラリと光ったんです。


■織田と明智が一致団結

感動したのは、謀反を起こした明智軍と、謀反を起こされた織田軍が、ひとつの目的のために一致団結して事にあたった場面です。

その目的とは、皇族の救出です。

本能寺の近くには、皇族が住んでいました。

信長の息子・信忠は、皇族を戦渦に巻き込まないために、明智軍に対して一時休戦を申し入れます。

戦いよりもまずは皇族を遠くへ逃がすのが先だと考えたのです。

光秀のほうもこの申し入れを快諾。

休戦となります。

皇族は、織田軍と明智軍に固く守られながら、戦火のそとに逃れました。


■人間模様

とにかく「本能寺の変」は天変地異でした。

この天変地異の中で、人々がどう行動したのか、それを読むのが面白かったです。

ある者はいさぎよい死に様で名を高め、ある者はほんの出来心の弱気から卑怯者と呼ばれるようになり、またある者は「次の天下人は誰か?」を嗅ぎ分けていち早く行動します。

そうした人間模様が、1582年6月2日の一日に凝縮されています。

新書太閤記〈7〉

2007年01月23日

新書太閤記【6巻】 吉川英治(著)

豊臣秀吉の小説

新書太閤記〈6〉 (吉川英治歴史時代文庫)
新書太閤記〈6〉

信長から中国方面軍司令官を任された秀吉は、大国・毛利と対峙します。この強敵を前に、秀吉はかつてない苦戦を強いられます。

 
■秀吉と明智光秀

ふたりが語り合い、まだ語り足りないまま馬に乗って別れるシーンが印象的でした。

ここで別れたふたりは、本能寺の変のあと、戦場でまみえることになります。


■本能寺、前夜

戦国史のひとつのクライマックスがやはり本能寺の変だと思うのですが、それへ向けて着々と話が進行していきます。


■くすぐったい快感

小説の中の登場人物たちは、これから本能寺の変が起こることを知りませんが、僕たちは知っています。

知っている僕たちの目から作品中の人物たちをながめていると、運命を見通せる占い師になったような、くすぐったい快感があります。

新書太閤記〈6〉

2007年01月23日

新書太閤記【5巻】 吉川英治(著)

豊臣秀吉の小説

新書太閤記〈5〉 (吉川英治歴史時代文庫)
新書太閤記〈5〉

■不穏な動き

秀吉は織田信長の家臣として一国の主となり、家族にも新世代の部下にも恵まれて充実した日々を過ごします。

しかし信長の同盟国・三河で不穏な動きが…


■武田勝頼!

さらに東では、信玄のあとを継いだ武田勝頼がいよいよ動き出し、織田・徳川連合軍と激突。

「長篠の戦い」がはじまります。

 
■鳥居強右衛門

5巻はなんといっても鳥居強右衛門です。

彼は三河の武士なのですが、彼に関するあるエピソードがこの5巻で描かれています。

。・゚・(ノД`)・゚・。

どんな悲嘆も、底をつらぬき通せばこんこんたる心泉がある。これきりという突き当りがないのが人生。人間の生きる姿…

これは鳥居強右衛門の心の叫びです。

。・゚・(ノД`)・゚・。

新書太閤記〈5〉

2007年01月23日

新書太閤記【4巻】 吉川英治(著)

豊臣秀吉の小説

新書太閤記〈4〉 (吉川英治歴史時代文庫)
新書太閤記〈4〉

■信長、大ピンチ

浅井長政の裏切りによって大ピンチに陥った主君の織田信長を、秀吉は命がけで救います。

うまく信長を逃がし、自身も九死に一生を得て京都に逃げ戻った秀吉ですが、ながく休息している暇はありません。


■最前線へ
 
織田家は急速に勢力を拡大しましたが、それだけに敵も多く、少しでも油断すれば東西の両面から領土を食い散らかされる危険があります。

敵による包囲網を破るため、秀吉は前線に出て行きます。


■敵の城に単身乗り込む!

見せ場のひとつは、秀吉が信長の使者として敵方浅井家の城に単身で乗り込む場面です。

ここで秀吉は意外な行動に出るのですが…


■環境が人を英雄にする

この言葉が印象に残りました。

英雄の素質があるものには不思議とどんどん試練が与えられ、それをクリアできるかどうかによって、彼が本当の英雄になるか、それとも挫折するかが決まってくる、という意味です。


■どんな困難も乗り越えられる

小我な欲望は、届きそうなことでも届かないが、忠節からほとばしる真心をもってすれば、どんな至難と思われることでも貫ける。秀吉はそう感じます。(367ページ)

これは新書太閤記【2巻】に書かれていた、「自分のためだと思うと尻込みするが、奉公のためだと思えばできる」という考え方と同じですね。

秀吉は一歩も二歩も視点を引いて、広い視野で人生をながめています。


■楽しみなくして何の人生ぞや

秀吉の楽観的で陽気な一面もよく描かれています。

「楽しみなくして何の人生ぞや」という心がけを、秀吉は敵のど真ん中にいても忘れません。

また秀吉が長浜城に母を迎えるシーンは感動しました。

彼が何をもって人生最高のよろこび、楽しみ、幸せと考えているのかがよくわかりました。

新書太閤記〈4〉

2007年01月23日

新書太閤記【3巻】 吉川英治(著)

豊臣秀吉の小説

新書太閤記〈3〉 (吉川英治歴史時代文庫)
新書太閤記〈3〉


■みんな20代だった

27歳になった秀吉は、足軽50人を預かる身分として織田家に奉公しています。

このとき織田信長は29歳。

徳川家康は21歳。

戦国の三英傑もまだまだ人生はこれからという、初々しい時代です。


■役者がそろった

3巻では「洲股(すのまた)の一夜城」といわれるエピソードや、秀吉と竹中半兵衛の出会いなどが描かれています。

のちに織田信長に謀反を起こすことになる明智光秀も、信長に仕えるようになります。


■むかしの恨み

秀吉はかつて、なかなか仕事が長続きしないダメ人間と見られていて、親戚からつらくあたられたこともありました。

そんな彼も今は織田家の家臣として立派に身を立て、見違えるようになりました。

そこに、かつて秀吉につらくあたっていた親戚の叔母さんが尋ねてきます。

今は立派な身分となった秀吉を頼ってやってきたのです。


■加藤清正も登場

叔母さんは秀吉に負い目があるため、申し訳なさそうに部屋のすみで小さくなっていますが、秀吉は彼女を心から温かく迎えます。

そればかりか、彼女の願いを入れて、彼女の息子を侍に取り立ててやります。

秀吉の人間の大きさが感じられるエピソードでした。ちなみにこのときに取り立てられた子供が、のちの加藤清正です。

全体を通じて、秀吉の真骨頂である気持ちの大きさや知恵、機転などを十分楽しめる展開になっています。

新書太閤記〈3〉

2007年01月23日

新書太閤記【2巻】 吉川英治(著)

豊臣秀吉の小説

新書太閤記〈2〉 (吉川英治歴史時代文庫)
新書太閤記〈2〉


■3日以内に…

尾張の織田家に仕えるようになった秀吉は、織田信長から普請奉行を命ぜられ、3日以内に城の壁を修理することになります。


■職場で孤立!

しかし現場で働く者たちは秀吉に反感を抱き、なかなか思うように動いてくれません。

期限までに壁の修理が終わらないと、秀吉は腹を切らなければなりません。このピンチをどう乗り切るのか…


■歴史的な大事件

この2巻では、秀吉の私生活の大きな節目として結婚が描かれています。

また歴史的な大事件である桶狭間の戦いも、多くのページを割いて丁寧に詳細に語られています。


■前田利家と女を取り合う

秀吉と寧子(ねね)との結婚については、前田利家も含めた微妙な三角関係が描かれるなど、歴史上の人物のプライベートな一面も覗き見ることができて面白いです。


■やさしく

この秀吉を見ていると、ギラギラした野心はあまり感じられません。

人なつっこい生活感や、家族や仕事に対する愛をひたすら感じます。


■はげしく

やわらかい印象の一方で、他人を情熱で説き伏せて巻き込んでゆく激しさを持っています。

野武士たちが秀吉の情熱に打たれ、「やるからには命を的にやろう」と立ち上がるシーンなどは、ビリビリきます。


■なんのために働くのか

秀吉には、他人から命がけの覚悟を引き出す不思議な熱意があります。

彼自身が小さな私欲のためではなく、家族のため、主君のため、天下のためを思って仕事に取り組んでいるからこそ、そういう強さが生まれてくるようです。

自分のためだと思うと尻込みするが、奉公のためだと思えばできる。

そういうことなんですね。

新書太閤記〈2〉

2007年01月23日

新書太閤記【1巻】 吉川英治(著)

豊臣秀吉の小説

新書太閤記〈1〉 (吉川英治歴史時代文庫)
新書太閤記〈1〉


■中国大陸から

物語は、尾張国でひとりの赤ちゃんが生まれるところから始まります。

のちの豊臣秀吉です。

その後、すぐに場面は中国大陸へと移ります。


■秀吉はダメ人間

成長した秀吉は身を立てる道をさがしてチャレンジを続けますが、なにをやっても芽が出ず、周囲からもダメ人間として見られるようになります。

それでも母や姉に楽をさせたいとそればかり願っていた秀吉は、ある日、命がけのアイディアを実行して人生に活路を見出そうとします。

 
■なりきる!

彼は村では厄介者と蔑視されながらも、母を想い、姉を想い、いつか家族に楽をさせてあげたいと励みます。

彼はどんな仕事も愛して、どんな役割にも真剣に取り組みました。

使いを命じられれば使いになりきり、庭掃除を命じられれば庭掃除になりきり、見張り番に立てば、それになりきる。


■希望の翼

なぜ秀吉はそんなにも仕事を愛せるのか。

それは「現在の仕事は、常に、次への希望の卵だった」からです。

その卵をしっかり抱いてあたためて、やがて「希望に翼がはえて生まれてくる」のを、彼はじっと待っていたのです。


■立身するためには

秀吉は「今の世の中で、身を立てるには、何がいちばん大事か」と考えます。

身を立てるのに必要なことは、まず家柄、さらに金と武力、そして戦働きのできる強い肉体、あるいは学問…

そのどれも、秀吉は持っていません。

ではどうするのか。

秀吉は答えをみつけます。


■秀吉の武器

忠実、ということです。

仕事に忠実になる。

家柄も金も学問もないが、仕事に忠実に励むということだけは、裸になってもできる。それが秀吉の答えでした。

どんな仕事でも、与えられた役割になりきって、天職と思って取り組む。

それが秀吉の出世物語のベースになっています。

新書太閤記〈1〉

2006年12月04日

吉川英治 太閤記

吉川英治の新書太閤記〈1〉を読み終えたので、つづき(2〜11巻)を楽天ブックスで注文していたのですが、それが先日届きました。

taikouki.gif
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2006年11月23日

新書太閤記1巻のいいコトバ

いつもランキングありがとうございます。

吉川英治氏の『新書太閤記』1巻を読んでいます。「あ、いいな」と思うところがいくつもあって、それをノートに書き出そうと思ったんですが、せっかくなのでメモがてらブログに書くことにしました。
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