2008年03月29日

項羽と劉邦 司馬遼太郎(著)

中国の英雄たちの小説

項羽と劉邦 (上) (新潮文庫)


■空の旅

ふわ〜っと空を飛んで。

ふわふわ。


■パノラマ

この小説を読むと、中国大陸の動乱をはるか上空から眺めているような気分になります。

見晴らしがいいんです。

誰がどこで何をしているか、よくわかるんです。


■項羽と劉邦

始皇帝の時代が終わる頃。

中国にふたりの英雄が登場します。

「武勇」の項羽。

「人望」の劉邦。


■すいません

今うっかり「人望」の劉邦と書いてしまいました。

でも劉邦の行動をピックアップしてみると、とても人望があるようには見えません。


■劉邦の魅力って

劉邦は30歳を過ぎてもいっこうに働こうとしません。

毎日仲間と酒ばかり飲んでいます。

やっと仕事についても、職場を放棄して行方をくらますありさま。

敵に追われたときは、馬車を軽くするために自分の子供を置き去りにして逃げました。

なぜこんな人物に人望が集まるんだろう、と不思議になります。

でも、あるんです、人望。


■天才たち

物語には、頭のいい人がたくさん登場します。

戦争の天才。

政略の天才。

内政の天才。

それを束ねるのが劉邦です。

劉邦自身の能力値はけっして高くないんですけどね。

でも魅力があるんです。その人間味に惹かれて、たくさんの優秀な人間が集まってきます。


■のらりくらり

広大な中国大陸の覇権をかけて、英雄たちが争います。

その激戦を、劉邦はのらりくらりと勝ち抜いていくんです。

なんか、おかしくて笑ってしまいます。

撃沈。

僕も劉邦の人間味にやられたみたいです。

項羽と劉邦 (上)
項羽と劉邦〈中〉
項羽と劉邦〈下〉