2008年03月29日

歳月 司馬遼太郎(著)

佐賀の乱を起こした政治家・江藤新平の小説

歳月〈上〉 (講談社文庫) 歳月〈下〉 (講談社文庫)


■危ない!

江藤新平は幕末から明治にかけての政治家です。

じつにスリル満点の生き方をした人物です。


■志士として

彼は九州・佐賀藩の人間です。

幕末の風雲を観察するため、脱藩という大罪を犯して京にのぼり、若き日の桂小五郎(のちの木戸孝允)や伊藤俊輔(のちの伊藤博文)と会います。


■自信満々

幕末の京都には、全国から優秀な人材が集まっていました。

しかし江藤は思います。

「この江藤新平に及ぶものはおらぬ」


■死にに帰るようなもの

江藤は佐賀藩に戻ることにしますが、伊藤俊輔に止められます。

一度脱藩した身である以上、佐賀に戻れば死が待っているからです。

それでも江藤は帰るといい張ります。

じつは彼には殺されないための秘策があったのです。


■虎の穴

江藤はとても頭のいい男です。

絶体絶命の中にも希望を見つけます。

ズカズカと虎穴に入って、大きく飛躍します。


■勝海舟の評価

「江藤新平、あれはおどろいた才物だよ」

とは、勝海舟の言葉です。

あまり人を褒めない勝がこうまで言っているわけですが、つづきがあります。

「ピリピリしておって、じつにあぶないよ」


■両刃の剣

江藤は傑物でした。

彼の鋭利な頭脳は切れ味バツグンです。

でもそれは自身を傷つける諸刃の剣にもなりました。

歳月〈上〉 (講談社文庫)
歳月〈下〉 (講談社文庫)