■危ない!
江藤新平は幕末から明治にかけての政治家です。
じつにスリル満点の生き方をした人物です。
■志士として
彼は九州・佐賀藩の人間です。
幕末の風雲を観察するため、脱藩という大罪を犯して京にのぼり、若き日の桂小五郎(のちの木戸孝允)や伊藤俊輔(のちの伊藤博文)と会います。
■自信満々
幕末の京都には、全国から優秀な人材が集まっていました。
しかし江藤は思います。
「この江藤新平に及ぶものはおらぬ」
■死にに帰るようなもの
江藤は佐賀藩に戻ることにしますが、伊藤俊輔に止められます。
一度脱藩した身である以上、佐賀に戻れば死が待っているからです。
それでも江藤は帰るといい張ります。
じつは彼には殺されないための秘策があったのです。
■虎の穴
江藤はとても頭のいい男です。
絶体絶命の中にも希望を見つけます。
ズカズカと虎穴に入って、大きく飛躍します。
■勝海舟の評価
「江藤新平、あれはおどろいた才物だよ」
とは、勝海舟の言葉です。
あまり人を褒めない勝がこうまで言っているわけですが、つづきがあります。
「ピリピリしておって、じつにあぶないよ」
■両刃の剣
江藤は傑物でした。
彼の鋭利な頭脳は切れ味バツグンです。
でもそれは自身を傷つける諸刃の剣にもなりました。
歳月〈上〉 (講談社文庫)
歳月〈下〉 (講談社文庫)