■武蔵、敗れる!
宮本武蔵といえば無敵の剣豪ですが、この小説はいきなり敗北から始まります。
力尽きてもう動けない…
徹底的な敗北です。
■竜馬と武蔵
司馬遼太郎さんの小説『竜馬がゆく』は日本人の龍馬観を決定付けました。
吉川英治さんの小説『宮本武蔵』は武蔵のイメージを固めました。
武蔵の小説をなんでもいいから一つ読んでみたいというときは、やっぱこれだと思います。
■関が原の戦い
慶長5年9月。
徳川家康ひきいる東軍と、石田三成を中心とする西軍が、関ヶ原で激突しました。
武蔵も戦場にいました。
武蔵は西軍の兵士として参加していたのですが、西軍は敗れてしまいます。
力尽きて倒れた武蔵は、屍のように戦場に横たわったまま、もう動くことができませんでした。
このとき武蔵は17歳。
■彼はなぜ転落したのか
武蔵のそばには親友の又八も倒れていました。
彼も同じ17歳です。
ふたりは年齢も同じ、故郷も同じ。
戦場での手柄を夢見て故郷を飛び出し、夢かなわずこうして関ヶ原の大地に満身創痍で横たわっている点もまったく同じです。
しかしその後の人生が大きく違ってきます。
ひとりは後世に名を残す剣豪になり、もうひとりは転落の人生を歩んでいきます。
■命運を分けたもの
武蔵はどんなふうに剣の道をきわめたのか。
友人の又八はなぜ転落してしまったのか。
そこを読み比べるだけでも面白いです。
■恋愛も
これは剣豪小説であり、恋愛小説であり、人生の手引書です。
「人生の困難はこうやって乗り越えるんだよ」という手本を、1ページ1ページ、武蔵が身をもって示してくれているような気がします。
宮本武蔵〈1〉
宮本武蔵〈2〉
宮本武蔵〈3〉
宮本武蔵〈4〉
宮本武蔵〈5〉
宮本武蔵〈6〉
宮本武蔵〈7〉
宮本武蔵〈8〉