小説 徳川秀忠 (人物文庫)
■秀忠の目
秀忠の目を通して、関ヶ原の戦いや大坂の陣、さらに3代将軍家光への政権移譲などが描かれています。
歴史を現代のビジネス社会に例えたり、文中に箇条書きを用いるという手法は、童門冬二さんの特徴ですね。
■地味な2代目
徳川幕府の初代は家康。
3代は生まれながらの将軍、家光。
このふたりに挟まれて、2代目の秀忠はなんとなく地味なイメージがあります。
でもこの小説を読むと印象がちょっと変わります。
■遅刻の理由
秀忠は関ヶ原の戦いに遅刻しました。
これだけでも「秀忠は無能だ」といわれてしまいがちなんですが、本書は違います。
「秀忠はわざと遅刻した」という視点から、なるべくフィクションを排除した作風で、彼が有能な2代目だったことを浮き彫りにしています。
小説 徳川秀忠 (人物文庫)