2007年01月23日

新書太閤記【4巻】 吉川英治(著)

豊臣秀吉の小説

新書太閤記〈4〉 (吉川英治歴史時代文庫)
新書太閤記〈4〉

■信長、大ピンチ

浅井長政の裏切りによって大ピンチに陥った主君の織田信長を、秀吉は命がけで救います。

うまく信長を逃がし、自身も九死に一生を得て京都に逃げ戻った秀吉ですが、ながく休息している暇はありません。


■最前線へ
 
織田家は急速に勢力を拡大しましたが、それだけに敵も多く、少しでも油断すれば東西の両面から領土を食い散らかされる危険があります。

敵による包囲網を破るため、秀吉は前線に出て行きます。


■敵の城に単身乗り込む!

見せ場のひとつは、秀吉が信長の使者として敵方浅井家の城に単身で乗り込む場面です。

ここで秀吉は意外な行動に出るのですが…


■環境が人を英雄にする

この言葉が印象に残りました。

英雄の素質があるものには不思議とどんどん試練が与えられ、それをクリアできるかどうかによって、彼が本当の英雄になるか、それとも挫折するかが決まってくる、という意味です。


■どんな困難も乗り越えられる

小我な欲望は、届きそうなことでも届かないが、忠節からほとばしる真心をもってすれば、どんな至難と思われることでも貫ける。秀吉はそう感じます。(367ページ)

これは新書太閤記【2巻】に書かれていた、「自分のためだと思うと尻込みするが、奉公のためだと思えばできる」という考え方と同じですね。

秀吉は一歩も二歩も視点を引いて、広い視野で人生をながめています。


■楽しみなくして何の人生ぞや

秀吉の楽観的で陽気な一面もよく描かれています。

「楽しみなくして何の人生ぞや」という心がけを、秀吉は敵のど真ん中にいても忘れません。

また秀吉が長浜城に母を迎えるシーンは感動しました。

彼が何をもって人生最高のよろこび、楽しみ、幸せと考えているのかがよくわかりました。

新書太閤記〈4〉