2007年01月23日

新書太閤記【3巻】 吉川英治(著)

豊臣秀吉の小説

新書太閤記〈3〉 (吉川英治歴史時代文庫)
新書太閤記〈3〉


■みんな20代だった

27歳になった秀吉は、足軽50人を預かる身分として織田家に奉公しています。

このとき織田信長は29歳。

徳川家康は21歳。

戦国の三英傑もまだまだ人生はこれからという、初々しい時代です。


■役者がそろった

3巻では「洲股(すのまた)の一夜城」といわれるエピソードや、秀吉と竹中半兵衛の出会いなどが描かれています。

のちに織田信長に謀反を起こすことになる明智光秀も、信長に仕えるようになります。


■むかしの恨み

秀吉はかつて、なかなか仕事が長続きしないダメ人間と見られていて、親戚からつらくあたられたこともありました。

そんな彼も今は織田家の家臣として立派に身を立て、見違えるようになりました。

そこに、かつて秀吉につらくあたっていた親戚の叔母さんが尋ねてきます。

今は立派な身分となった秀吉を頼ってやってきたのです。


■加藤清正も登場

叔母さんは秀吉に負い目があるため、申し訳なさそうに部屋のすみで小さくなっていますが、秀吉は彼女を心から温かく迎えます。

そればかりか、彼女の願いを入れて、彼女の息子を侍に取り立ててやります。

秀吉の人間の大きさが感じられるエピソードでした。ちなみにこのときに取り立てられた子供が、のちの加藤清正です。

全体を通じて、秀吉の真骨頂である気持ちの大きさや知恵、機転などを十分楽しめる展開になっています。

新書太閤記〈3〉