2007年01月23日

新書太閤記【2巻】 吉川英治(著)

豊臣秀吉の小説

新書太閤記〈2〉 (吉川英治歴史時代文庫)
新書太閤記〈2〉


■3日以内に…

尾張の織田家に仕えるようになった秀吉は、織田信長から普請奉行を命ぜられ、3日以内に城の壁を修理することになります。


■職場で孤立!

しかし現場で働く者たちは秀吉に反感を抱き、なかなか思うように動いてくれません。

期限までに壁の修理が終わらないと、秀吉は腹を切らなければなりません。このピンチをどう乗り切るのか…


■歴史的な大事件

この2巻では、秀吉の私生活の大きな節目として結婚が描かれています。

また歴史的な大事件である桶狭間の戦いも、多くのページを割いて丁寧に詳細に語られています。


■前田利家と女を取り合う

秀吉と寧子(ねね)との結婚については、前田利家も含めた微妙な三角関係が描かれるなど、歴史上の人物のプライベートな一面も覗き見ることができて面白いです。


■やさしく

この秀吉を見ていると、ギラギラした野心はあまり感じられません。

人なつっこい生活感や、家族や仕事に対する愛をひたすら感じます。


■はげしく

やわらかい印象の一方で、他人を情熱で説き伏せて巻き込んでゆく激しさを持っています。

野武士たちが秀吉の情熱に打たれ、「やるからには命を的にやろう」と立ち上がるシーンなどは、ビリビリきます。


■なんのために働くのか

秀吉には、他人から命がけの覚悟を引き出す不思議な熱意があります。

彼自身が小さな私欲のためではなく、家族のため、主君のため、天下のためを思って仕事に取り組んでいるからこそ、そういう強さが生まれてくるようです。

自分のためだと思うと尻込みするが、奉公のためだと思えばできる。

そういうことなんですね。

新書太閤記〈2〉