2007年01月23日

新書太閤記【1巻】 吉川英治(著)

豊臣秀吉の小説

新書太閤記〈1〉 (吉川英治歴史時代文庫)
新書太閤記〈1〉


■中国大陸から

物語は、尾張国でひとりの赤ちゃんが生まれるところから始まります。

のちの豊臣秀吉です。

その後、すぐに場面は中国大陸へと移ります。


■秀吉はダメ人間

成長した秀吉は身を立てる道をさがしてチャレンジを続けますが、なにをやっても芽が出ず、周囲からもダメ人間として見られるようになります。

それでも母や姉に楽をさせたいとそればかり願っていた秀吉は、ある日、命がけのアイディアを実行して人生に活路を見出そうとします。

 
■なりきる!

彼は村では厄介者と蔑視されながらも、母を想い、姉を想い、いつか家族に楽をさせてあげたいと励みます。

彼はどんな仕事も愛して、どんな役割にも真剣に取り組みました。

使いを命じられれば使いになりきり、庭掃除を命じられれば庭掃除になりきり、見張り番に立てば、それになりきる。


■希望の翼

なぜ秀吉はそんなにも仕事を愛せるのか。

それは「現在の仕事は、常に、次への希望の卵だった」からです。

その卵をしっかり抱いてあたためて、やがて「希望に翼がはえて生まれてくる」のを、彼はじっと待っていたのです。


■立身するためには

秀吉は「今の世の中で、身を立てるには、何がいちばん大事か」と考えます。

身を立てるのに必要なことは、まず家柄、さらに金と武力、そして戦働きのできる強い肉体、あるいは学問…

そのどれも、秀吉は持っていません。

ではどうするのか。

秀吉は答えをみつけます。


■秀吉の武器

忠実、ということです。

仕事に忠実になる。

家柄も金も学問もないが、仕事に忠実に励むということだけは、裸になってもできる。それが秀吉の答えでした。

どんな仕事でも、与えられた役割になりきって、天職と思って取り組む。

それが秀吉の出世物語のベースになっています。

新書太閤記〈1〉